「転職で年収アップしたいけれど、特別な資格やスキルがない」
「今の会社で成果を出しても、給料がほとんど上がらない」
このような悩みがあるなら、努力の量だけではなく、 働いている業界と企業の給与水準を確認する必要があります。
この考え方は、一般に「軸ずらし転職」と呼ばれることがあります。 ただし、業界を変えれば必ず年収が上がるわけではありません。 経験、企業規模、職位、勤務地、評価制度なども給与へ影響します。
そこで本記事では、元人事の視点から、 転職と年収の関係、業界を変えるメリット、 失敗を避ける応募先の選び方を解説します。
転職で年収が変わるのは「能力」だけではない
給与は本人の能力だけで決まるものではありません。
たとえば、企業の収益構造、業界の給与相場、会社の規模、 利益の配分方針、役職、勤務地なども影響します。
厚生労働省の2025年賃金構造基本統計調査でも、 一般労働者の賃金には産業別の差が確認されています。 同調査では「学術研究、専門・技術サービス業」が月額44万300円、 「宿泊業、飲食サービス業」が月額27万7,200円でした。
また、企業規模別では、男女計の月額賃金が 大企業38万5,100円、中企業32万6,200円、小企業30万5,600円となっています。
それでも、同じような経験を持つ人であっても、 所属する産業や会社規模によって給与水準が異なることは、 応募先を考えるうえで重要な材料になります。
軸ずらし転職とは?
軸ずらし転職とは、 自分の経験をすべて捨てて別の職種へ移るのではなく、 活かせる職務能力を残しながら、業界や担当領域を変える方法です。
| 転職方法 | 例 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 業界・職種を維持 | 小売店長から別の小売店長 | 経験を直接評価されやすい | 業界全体の給与水準が近い場合がある |
| 業界・職種を両方変更 | 店舗管理から未経験エンジニア | 新しいキャリアを構築できる | 未経験評価となり、年収が下がる可能性がある |
| 経験を活かして業界を変更 | 店舗管理からSaaS企業の顧客支援 | 既存経験と新しい業界をつなげやすい | 職務の共通点を言語化する必要がある |
職種名が変わっても使う能力が近い場合がある
軸ずらし転職では、職種名が完全に同じである必要はありません。
たとえば、店舗運営とカスタマーサクセスでは名称が異なります。 一方で、顧客対応、課題把握、スタッフ教育、数値管理など、 共通する能力を見つけられる場合があります。
前職の名称ではなく、誰に対して、どのような課題を解決し、 どの成果を出したのかを整理してください。
転職で年収アップを狙いやすい業界の見方
「年収が高い業界」を一覧だけで選ぶのは危険です。 同じ業界でも、職種や企業によって給与水準は異なります。
そのため、次の4つをセットで確認しましょう。
公的統計や求人情報を使い、 現在の業界と転職候補の給与水準を比較します。
業界平均ではなく、営業、人事、経理、エンジニアなど、 自分と近い職種の提示年収を確認します。
大企業だけでなく、成長企業、上場準備企業、 外資系企業なども比較対象になります。
年収総額だけでなく、基本給、賞与、残業代、 インセンティブを分けて確認してください。
検討候補になりやすい領域
現在の経験によっては、次のような領域と接点を作れる場合があります。
- 情報通信・SaaS・Webサービス
- コンサルティング・専門サービス
- 金融・保険
- インフラ・エネルギー
- メーカーの高付加価値分野
- 医療・ヘルスケア関連
ただし、業界名だけで応募を決めてはいけません。 求人票で仕事内容、必須経験、想定年収、評価制度を確認し、 自分の経験との接点を判断してください。
現在の経験がどの業界で評価されるか整理したい方は、
ユメキャリ転職エージェントで市場価値や応募先について相談できます
。
軸ずらし転職の具体例
以下は、考え方を分かりやすくするための例です。 特定の転職成功や年収アップを保証するものではありません。
売上管理、スタッフ教育、シフト作成、顧客対応、 クレーム対応、在庫管理
SaaS企業のカスタマーサクセス、営業支援、 店舗DX支援、業務改善コンサルタント
データ集計、契約管理、問い合わせ対応、 業務手順の整備、営業部門との調整
IT企業の営業企画、業務オペレーション、 カスタマーサポート企画、プロジェクト支援
制度運用、採用、給与計算、決算、予算管理、 関係部署との調整
人事コンサル、会計システム導入、業務改革、 BPO設計、コーポレート企画
ポータブルスキルを見つける方法
業界を変えるときは、 業界固有の経験だけでなく、 別の職場でも再現できる能力を整理します。
厚生労働省も、業種や職種が変わっても持ち運べる職務遂行上のスキルを 整理する「ポータブルスキル見える化ツール」を公開しています。
担当業務をそのまま書かない
「接客を担当」「事務処理を担当」だけでは、 転職先で活かせる能力が伝わりません。
そこで、業務を次のように言い換えます。
| 元の表現 | ポータブルスキルとしての表現 |
|---|---|
| 接客が得意 | 顧客の要望を聞き取り、状況に応じた提案ができる |
| 事務処理が速い | 業務手順を整理し、正確性を保ちながら処理時間を短縮できる |
| シフトを作成した | 需要予測と人員状況を踏まえて、配置を最適化できる |
| 後輩を指導した | 習熟度に合わせて教育計画を作り、独り立ちまで支援できる |
なお、抽象的な言葉だけでは説得力が不足します。 必ず人数、期間、売上、工数、改善率などの具体例も添えましょう。
書類への落とし込み方は、 元人事が解説する職務経歴書の書き方 も参考にしてください。
転職で年収アップに失敗しやすい人の特徴
求人票の最高年収だけを見る
「年収600万円〜1,000万円」と書かれていても、 自分が上限額で採用されるとは限りません。
想定される職位、評価条件、固定残業代、 インセンティブの割合まで確認してください。
未経験業界だからと経験を捨てる
業界が変わっても、 顧客対応、数値管理、マネジメント、業務改善などは活かせます。
そのため、「未経験です」とだけ伝えるのではなく、 応募先と共通する経験を先に示しましょう。
現年収だけを交渉材料にする
「現在500万円なので550万円を希望します」だけでは、 企業が希望額を提示する根拠になりません。
入社後に担当できる業務、過去の実績、 求人相場を組み合わせて説明する必要があります。
業界平均だけで会社を選ぶ
給与水準が高い業界でも、 長時間労働、変動給の比率、離職率、 仕事内容が希望と合わない場合があります。
したがって、年収と働き方を同時に比較してください。
転職で年収アップするための5ステップ
- 現在の年収内訳を確認する
基本給、賞与、残業代、手当を分けます。 - 再現できる経験を整理する
課題、行動、成果、関係者への働きかけを書き出します。 - 同じ職種の別業界求人を探す
営業、人事、経理、企画など、近い仕事から比較します。 - 最低希望額と理想額を決める
年収だけでなく、固定給と労働条件も確認します。 - 複数社を比較して交渉する
一社だけで判断せず、職位と評価条件を比較します。
転職で年収アップを目指す場合、 求人の提示額だけでなく、現在の経験をどの業界で活かせるかを確認することが重要です。
ユメキャリ転職エージェントでは、 転職先の検討や選考対策について相談できます。 自分だけでは思いつかない業界を比較する方法の一つです。
ユメキャリで転職先と年収について相談する※紹介求人や支援内容は、年齢、職歴、勤務地、希望条件などによって異なります。 登録や相談によって、年収アップや内定が保証されるものではありません。 最新の対象条件とサービス内容は公式ページでご確認ください。
転職と年収に関するよくある質問
業界を変えれば必ず年収は上がりますか?
必ず上がるわけではありません。 経験、年齢、職位、企業規模、勤務地、評価制度などによって変わります。 まずは同じ職種の求人年収を複数比較してください。
未経験業界でも年収を維持できますか?
前職との共通点が多ければ、経験を評価される可能性があります。 一方で、業界と職種を両方変える場合は、 未経験者向けの職位となり年収が下がることもあります。
どの業界が自分に合うか分かりません
まず、現在の業務を「顧客対応」「数値管理」「改善」「調整」 「マネジメント」などの能力へ分解してください。 そのうえで、その能力を求める求人を業界横断で探します。
年収アップを理由に転職しても問題ありませんか?
年収は正当な転職理由の一つです。 ただし、面接では給与への不満だけでなく、 担当したい仕事、専門性、入社後に提供できる価値も説明しましょう。
まとめ|転職で年収を上げるなら経験と業界をつなぐ
転職で年収アップを目指すとき、 現在の会社で努力を続ける方法だけが選択肢ではありません。
一方で、給与水準が高そうな業界へ移れば、 自動的に年収が上がるわけでもありません。
重要なのは、現在の経験を分解し、 その能力をより高く評価する業界や企業を探すことです。
- 現在の年収内訳を確認する
- ポータブルスキルを具体化する
- 同じ職種を業界横断で比較する
- 提示年収だけでなく労働条件も確認する
- 経験と応募先の共通点を職務経歴書で示す
まずは、自分の職種が別の業界でどのように募集されているか、 求人情報を比較するところから始めてください。
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参考情報: 厚生労働省「令和7年賃金構造基本統計調査」 、 厚生労働省「ポータブルスキル見える化ツール」
※賃金統計は平均値であり、個別求人の提示年収や転職後年収を保証するものではありません。 情報確認日:2026年7月23日。


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