SESの職務経歴書を作るとき、客先で担当した作業をそのまま並べていませんか。
「運用保守ばかりで書ける実績がない」
「監視やテスト経験をどう評価につなげればよいのか分からない」
「客先名や案件情報をどこまで書いてよいのか迷う」
このような場合は、技術名を増やすより担当範囲を具体化することが重要です。
また、改善したことや関係者との連携も、事実の範囲で整理してください。
そこでこの記事では元人事の視点から、SESの職務経歴書の構成と書き方を解説します。
さらに、職種別の例文テンプレ、NG改善例、自己PR、提出前チェックまで紹介します。
- SESの職務経歴書|先に書き方の結論を確認
- SESの職務経歴書とスキルシートの違い
- SESの職務経歴書に必要な6項目
- SESの職務経歴書|客先常駐のプロジェクト欄を5ステップで書く
- 客先名・機密情報を職務経歴書へ書くときの注意点
- SESの職務経歴書で避けたい5つのNG例
- 職種別|SESの職務経歴書の例文テンプレ
- SESの職務経歴書|技術スキル欄の書き方
- 自己PRはSES経験を応募先の仕事へつなげる
- ポートフォリオ・GitHubをSESの職務経歴書へ載せる場合
- SESの職務経歴書を第三者に添削してもらうポイント
- 転職先別|職務経歴書で強調するポイントを変える
- SESの職務経歴書|提出前チェックリスト10項目
- SESの職務経歴書についてよくある質問
- まとめ|SESの職務経歴書は経験を事実ベースで具体化する
- SES・ITエンジニアの実務ガイド
SESの職務経歴書|先に書き方の結論を確認
SESの職務経歴書は、「環境・役割・課題・行動・結果」の順で整理すると伝わりやすくなります。
まず、案件ごとの担当工程と技術環境を書きます。
次に、自分が実際に行った業務を具体化してください。
さらに、改善、調査、連携などの行動があれば追加します。
ただし、成果を大きく見せるために数字や経験を作る必要はありません。
特に注意したいのは、SESの職務経歴書をスキルシートと同じ「案件履歴の一覧」で終わらせることです。
以下では、無料Excelで経験を棚卸ししたうえで、転職用の文章へ変換する方法を順番に確認できます。
SESの職務経歴書とスキルシートの違い
IT業界では、職務経歴書を「レジュメ」と呼ぶことがあります。
一方、SES案件で使うスキルシートは、プロジェクトや担当工程を一覧で整理する資料です。
| 書類 | 主な用途 | 重視する内容 |
|---|---|---|
| 履歴書 | 応募者の基本情報を確認 | 学歴、職歴、資格、連絡先など |
| 職務経歴書 | 転職時の書類選考 | 経験、役割、実績、強み、再現性 |
| スキルシート | 案件経験や技術を整理 | 技術、工程、期間、業界、チーム規模 |
まず無料Excelで案件経験を棚卸しする
職務経歴書から直接作り始めると、過去案件の技術や担当工程が抜けることがあります。
そこで、先にSESスキルシートへ案件経験をまとめる方法があります。
今回、基本情報、保有スキル、業務経歴、完成記入例を収録した無料Excelを用意しました。
SESスキルシート Excelテンプレート
案件、担当工程、技術、役割、実績・改善・工夫を整理してから職務経歴書へ移せます。
※Excel形式(.xlsx)です。会社や提出先から指定フォーマットがある場合は、その様式を優先してください。
各欄の詳しい記入方法も確認できる
担当工程の判断や技術レベルの書き分けで迷う場合は、専用ページを確認してください。
公的な職務経歴シートも参考にできる
なお、経歴そのものを時系列で整理したい場合は、公的な様式も参考になります。
厚生労働省のマイジョブ・カードには、職務内容や役割、貢献したことを整理する職務経歴シートがあります。
SESの職務経歴書に必要な6項目
経歴を棚卸ししたら、転職用の書類へ情報を移します。
基本構成は、次の6項目に分けると整理しやすくなります。
職務要約は経験の全体像を4〜6行で伝える
採用側が最初に確認しやすいのが職務要約です。
そのため、抽象的な自己評価より、年数、領域、工程、主な技術を優先します。
ITサービス企業へ入社後、約3年間、金融業界向けシステムの運用保守に従事しました。 Linux環境での監視、障害一次対応、ログ調査、手順書改訂、月次報告を担当しています。 直近では、問い合わせ内容の分類と手順書の見直しを行い、担当者間の対応差を減らす改善に取り組みました。 現在はAWSとPythonを学習し、運用経験を生かしながら担当領域を広げたいと考えています。
一方、「多くの案件を経験」「幅広い技術に対応」といった表現だけでは、実際の経験範囲が伝わりません。
SESの職務経歴書|客先常駐のプロジェクト欄を5ステップで書く
プロジェクト欄では、所属会社名だけでなく案件ごとの実務内容を整理します。
次の5ステップを使うと、担当範囲と本人の行動を分けやすくなります。
プロジェクト欄の記入テンプレート
【期間】20XX年X月〜20XX年X月 【案件概要】大手小売企業向け販売管理システムの運用保守 【チーム規模】全体20名/所属チーム5名 【担当工程】運用監視、障害一次対応、調査、手順書改訂 【技術環境】Linux、Oracle、Shell、JP1、Redmine 【担当業務】 ・アラート監視と一次切り分け ・ログ、ジョブ、DB状況の確認 ・障害内容を整理し、開発担当へエスカレーション ・月次報告と運用手順書の更新 【実績・工夫】 問い合わせ履歴を原因別に整理し、頻出事象の確認手順を手順書へ追記しました。 新任担当者も同じ順序で一次切り分けできるよう、確認項目を統一しました。
成果を数字にできない場合も事実を書く
工数削減率や障害削減率が分かれば、確認できる数字を記載できます。
ただし、正確な数字を把握していない場合は推測で作らないでください。
代わりに、「確認項目を統一した」「手順書へ追記した」など、行動の変化を書きます。
客先名・機密情報を職務経歴書へ書くときの注意点
客先常駐では、顧客企業のシステムや内部情報へ触れる機会があります。
そのため、転職書類へ記載する情報の範囲には注意が必要です。
客先名は業界や事業規模へ置き換える
契約や会社ルールで客先名を公開できない場合があります。
そこで、「大手金融機関向け」「通信事業者向け」「小売業向け」のように表現します。
- 具体的な顧客企業名を安易に書かない
- 内部IPや接続情報を記載しない
- 非公開のシステム名称をそのまま使わない
- 顧客データやアカウント情報を書かない
- 公開範囲が分からない場合は所属会社へ確認する
営業秘密に当たる情報も自己判断で公開しない
また、企業が秘密として管理する技術情報や事業情報には慎重な取り扱いが必要です。
判断に迷う情報は、応募書類へ入れる前に公開可能な範囲を確認してください。
チームの成果を自分一人の成果にしないことも重要です。
チームで行った改善は、「チームで○○を実施し、自分は△△を担当」と分けます。
また、提案しただけで導入されていない場合は、提案・試作・検証までの事実を記載してください。
SESの職務経歴書で避けたい5つのNG例
- 「監視」「テスト」「改修」など作業名だけで終わっている
- 使用経験のない技術をスキル欄へ追加している
- 本人の役割とチーム全体の成果が区別されていない
- 案件と技術の一覧だけで、工夫や判断が分からない
- すべての応募企業へ同じ自己PRを使っている
一方、監視やテスト経験そのものが問題なのではありません。
そこで、確認方法、品質への配慮、再発防止、関係者との連携まで具体化します。
「やらせてもらえなかった」で終わらせない
このように、経験していない工程ではなく、実際に担当した仕事へ焦点を戻します。
職種別|SESの職務経歴書の例文テンプレ
監視・運用保守エンジニアの例文
なお、正確な数字がある場合は、担当台数や月間対応件数などを追加できます。
テスト・QAエンジニアの例文
自動化を学習している場合は、実務経験と混同せず「個人学習」として分けて記載します。
開発経験1年未満のエンジニアの例文
経験が浅い場合は、難しい技術を並べるより、調査方法やレビュー後の改善過程を示す方が具体的です。
ヘルプデスク・社内SE補助の例文
利用者対応では、聞き取り、問題の切り分け、分かりやすい説明も経験として整理できます。
SESの職務経歴書|技術スキル欄の書き方
技術欄では、製品名だけでなく経験期間と使用内容も示します。
また、実務、研修、個人学習を同じレベルとして扱わないようにしてください。
| 技術 | 経験 | 記載例 |
|---|---|---|
| Linux | 実務2年6か月 | 基本コマンド、ログ調査、プロセス・リソース確認 |
| Oracle | 実務1年8か月 | SELECTを用いたデータ確認、障害調査 |
| Java | 実務6か月 | 既存機能の改修、単体テスト、不具合修正 |
| AWS | 個人学習 | EC2、RDS、VPCを使った検証環境の構築 |
つまり、「触ったことがある」と「実務で担当した」を区別することが重要です。
そのうえで、面接で説明できる範囲を正確に記載します。
自己PRはSES経験を応募先の仕事へつなげる
自己PRでは、「責任感があります」といった抽象的な表現だけで終わらせないようにします。
まず、強みを一つ決めます。
次に、その強みが表れた実務経験を添えてください。
運用保守から開発を目指す自己PR例文
私の強みは、障害や問い合わせの状況を整理し、関係者が判断しやすい情報へ変換できることです。 運用保守では、アラート発生時にログ、ジョブ、リソース状況を確認し、影響範囲と確認済み項目を整理して開発担当へ連携してきました。 また、頻出事象については手順書を更新し、担当者が同じ順序で確認できる状態を整えました。 今後は、運用で得た障害対応と利用者視点を生かし、実装だけでなく安定運用まで考えられるエンジニアとして貢献したいと考えています。
応募先によって強調する経験を変える
自社開発なら、サービス改善や運用まで考えた経験を前へ出せます。
一方、社内SEでは問い合わせ対応や社内部門との連携が材料になります。
SIerを目指す場合は、担当工程、品質、チームでの役割を具体化してください。
開発職向けの職務経歴書をさらに詳しく作る場合はこちらです。
ポートフォリオ・GitHubをSESの職務経歴書へ載せる場合
ポートフォリオは、すべての経験者に必須とは限りません。
ただし、実務では示しにくい開発経験を補足したい場合に活用できます。
URLだけでなく制作物の概要を書く
- 誰のどのような課題を解決するものか
- 使用した技術
- 自分で設計・実装した範囲
- 工夫した点
- 現在残っている課題
- READMEと動作確認方法
【概要】学習記録を管理するWebアプリ 【目的】学習時間と進捗を日単位で確認できるようにする 【技術】Java、Spring Boot、MySQL、AWS 【担当】要件整理、DB設計、実装、テスト、デプロイ 【工夫】入力項目を絞り、スマートフォンから短時間で登録できる画面にしました 【URL】https://... 【GitHub】https://...
なお、個人開発は「個人開発」「学習」と明記し、実務経験とは区別します。
SESの職務経歴書を第三者に添削してもらうポイント
自分では分かりやすい書類でも、初めて読む人には担当範囲が伝わらない場合があります。
そこで、次の項目を第三者にも確認してもらいましょう。
- 案件ごとの期間と担当工程が分かるか
- 技術名だけでなく使用内容が分かるか
- 本人の行動とチーム成果を区別できるか
- 職務要約だけで経験の全体像が分かるか
- 応募先で生かせる強みが分かるか
経験者向けの求人と書類対策を比較する
TechGoで現在の経験から選べる求人を確認する
開発、インフラ、運用保守などの実務経験があり、応募企業ごとの書類・面接対策も含めて転職先を比較したい場合は、ITエンジニア向け転職支援を利用する方法があります。
※求人紹介、書類通過、年収アップを保証するものではありません。紹介可能な求人や支援内容は経験、希望条件、採用状況などによって異なります。
IT・Web系求人を幅広く確認する方法もある
また、社内SEや自社開発などを含め、IT・Web系求人を広く比較したい人もいるでしょう。
※紹介可能な求人や支援内容は経験、希望職種、勤務地、採用状況などによって異なります。
転職先別|職務経歴書で強調するポイントを変える
職務経歴そのものを応募先ごとに作り替える必要はありません。
ただし、職務要約や自己PRで前へ出す経験は調整できます。
| 応募先 | 強調しやすい経験 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 自社開発 | 改善、品質、利用者視点、運用までの理解 | 担当工程と開発対象 |
| 社内SE | 問い合わせ、部門調整、運用改善 | 内製範囲とユーザー対応 |
| SIer | 工程、品質、顧客との連携、チームでの役割 | 配属工程とプロジェクト体制 |
自社開発を目指す場合
客先常駐から自社サービス側へ進みたい人は、求人名だけで判断しないようにしてください。
社内SEを目指す場合
利用部門との距離が近い仕事を希望するなら、仕事内容と内製範囲を確認します。
SIerを目指す場合
設計や顧客調整へ担当範囲を広げたい場合は、実際の工程や配属体制を比較してください。
SESの職務経歴書|提出前チェックリスト10項目
完成した書類は、内容を増やすより事実関係を確認することが重要です。
案件・工程・技術を確認する
- 職務要約に経験年数と主な担当領域が入っている
- プロジェクトごとに期間と概要を分けている
- 本人が担当した工程だけを書いている
- 技術名と実際の使用内容を結び付けている
- 実務経験と個人学習を区別している
実績・機密情報・他書類との整合性を確認する
- チーム成果と本人の行動を区別している
- 確認できない数字を推測で作っていない
- 客先名や機密情報の公開範囲を確認している
- SESスキルシートと案件期間が一致している
- 面接で説明できない内容が残っていない
元人事の視点
SESの職務経歴書で重要なのは、経験を華やかに見せることではありません。
むしろ、「どの環境で、何を担当し、どのように行動したか」が短時間で理解できる状態を目指してください。
そのうえで、応募先に関係する経験を前へ出すと、書類全体の意図が伝わりやすくなります。
SESの職務経歴書についてよくある質問
Q1.運用保守しか経験がなくても職務経歴書に書けますか?
書けます。監視だけでなく、ログ調査、障害一次対応、問い合わせ、手順書更新などへ分けて整理してください。また、改善や連携の経験があれば事実の範囲で追加します。
Q2.SESの職務経歴書に客先名を書いてもよいですか?
契約や会社のルールを確認してください。公開できない場合は、「金融機関向け」「大手小売業向け」などへ置き換えます。判断できない情報は自己判断で公開しないことが重要です。
Q3.SESスキルシートを職務経歴書の代わりに提出できますか?
提出先の指定によります。ただし、スキルシートと職務経歴書では目的が異なります。転職では職務経歴書を求められる場合があるため、スキルシートを経歴整理に使い、転職用の文章へ変換すると作りやすくなります。
Q4.成果は必ず数字で書く必要がありますか?
必須ではありません。確認できる数字があれば使えますが、分からない数値を推測で作る必要はありません。数字がない場合は、改善前後の行動や手順の変化を具体的に書いてください。
Q5.経験していない上流工程を書いた方が有利ですか?
経験していない工程を追加するのは避けてください。面接では担当内容を確認される場合があります。実際に行った設計補助、仕様確認、レビューなどがあれば、その範囲を正確に書きます。
Q6.ポートフォリオは職務経歴書に必須ですか?
すべての求人で必須とは限りません。一方、実務では示しにくい開発経験を補足したい場合は材料になります。その際は、個人開発と実務を明確に分けてください。
まとめ|SESの職務経歴書は経験を事実ベースで具体化する
SESの職務経歴書では、案件名や技術を大量に並べることが目的ではありません。
まず、無料Excelなどを使って案件経験を整理します。
次に、本人が担当した工程、業務、技術を職務経歴書へ移してください。
さらに、改善、調査、連携などの行動も具体化します。
書類作成で優先すること
- プロジェクト単位で担当工程を整理する
- 技術には実際の使用内容を添える
- 運用・監視・テストでも工夫や判断を具体化する
- 成果を作らず、確認できる事実を使う
- 客先名や内部情報の公開範囲を確認する
- 応募先に合わせて自己PRの強調点を変える
まだ経歴を整理していない方はこちら
SES・ITエンジニアの実務ガイド
書類・面接・案件選びを準備する
次のキャリアを比較する
書類を整えたら応募できる求人も確認する
職務経歴書を作ると、自分が経験してきた工程や技術が見えやすくなります。
次は、その経験がどの求人で評価されるのかを確認する段階です。
ただし、現在の会社をすぐ辞める必要はありません。
まず、自社開発、SIer、社内SEなどを含めて選択肢を比較すると判断材料になります。
※求人紹介、書類通過、選考通過、年収アップを保証するものではありません。紹介可能な求人や支援内容は経験、希望条件、採用状況などによって異なります。
公的情報・参考資料
※本記事の例文、テンプレート、チェック項目は一般的な応募書類作成例です。採用基準や提出書類は企業によって異なります。また、案件情報の公開範囲は勤務先や契約内容をご確認ください。経験していない工程、技術、成果を職務経歴書へ追加しないようにしてください。情報確認日:2026年8月13日。


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