採用選考では転職回数が多いと不利になることもあります。 ただし、回数だけで一律に不採用になるわけではありません。
「転職回数が多いと不利になり、書類選考に通らないのではないか」
「何回目の転職から、採用担当者に警戒されるのだろう」
転職活動を始めると、このような不安を感じる方は少なくありません。
私は人事として、多数の応募書類と面接に関わってきました。 実際には、複数回の転職経験があっても採用したい人はいます。 一方で、転職回数が少なくても採用を見送るケースがあります。
そこでこの記事では、転職回数が多いと不利になりやすいパターンを解説します。 また、評価される経歴や面接での説明方法も整理します。
転職回数が多いと不利?何回から多いのか
「転職3回以上なら不採用」など、 すべての会社に共通する基準はありません。
採用基準は、応募者の年齢や職種によって変わります。 さらに、業界や企業文化、採用する役職も影響します。
たとえば、20代前半で短期離職が続いている人もいます。 一方、40代の専門職が経験を積むため数社を移るケースもあります。 そのため、同じ転職回数でも受け止められ方は異なります。
新卒で入社した会社を含めて4社に在籍した場合、 通常は「転職回数3回」と考えます。 なお、派遣や契約社員などの扱いは企業によって異なることがあります。
転職回数だけを隠すのは逆効果
転職回数が多いと不利になることを恐れて、 在籍した会社を職歴から意図的に削除するのは避けてください。
経歴の不一致が後から分かる場合もあります。 その場合、転職回数より説明の信頼性を問題視される可能性があります。
書類への記載範囲で迷うこともあるでしょう。 そこで、雇用形態や在籍期間を整理し、事実に沿って説明してください。
人事が転職回数より先に見る5つのポイント
人事は転職回数だけを切り離して判断しているわけではありません。 そのため、職務経歴書全体を通して次の点を確認します。
担当業務や顧客、使用ツールなどを確認します。 また、入社後に再現できる能力も見ます。
回数だけではなく、数か月での退職が連続していないかを確認します。
各転職に納得できる背景があるかを見ます。 さらに、次の選択へつながっているかも重要です。
売上や改善、専門性などを確認します。 つまり、転職を通じて何を積み上げたかが重要です。
過去の退職理由だけではありません。 なぜ応募先を選び、どう貢献したいかも確認します。
仕事内容や評価制度を理解しているかも見られます。 また、応募先との相性を考えているかも重要です。
転職回数が多いと不利になりやすい5つのパターン
1.短期離職が連続している
3か月、6か月、8か月など、 短い在籍期間が何度も続く場合があります。 すると、「また同じ時期に辞めるのでは」と警戒されやすくなります。
企業は採用や教育に時間と費用をかけています。 そのため、早期離職の再発可能性を慎重に確認します。
2.退職理由が毎回他責になっている
上司や会社、評価制度への不満だけを並べるケースがあります。 事実であっても、採用担当者は不安を感じることがあります。
問題は、不満を持ったこと自体ではありません。 そこで、その経験から何を学んだかまで説明しましょう。 次の職場を選ぶ基準も伝えることが重要です。
3.仕事の方向性が説明できない
営業、販売、事務、IT、人事など、 異なる仕事を経験している人もいます。 ただし、それだけで不採用になるわけではありません。
一方で、各職種で得た能力を説明できない場合は注意が必要です。 今後目指す方向とのつながりも整理してください。
4.各社での成果が見えない
転職回数が多いと不利になる場面では、 「会社を移ることが目的ではないか」も確認されます。
在籍期間が短くても、評価材料は作れます。 具体的には、担当した課題や行動、成果を示しましょう。
5.応募先を選んだ理由が浅い
「今の会社が嫌だから」だけでは説得力が弱くなります。 また、「年収を上げたいから」だけでも十分とはいえません。
そこで、業務内容や事業、評価制度まで確認してください。 そのうえで、自分の経験と応募先の接点を説明しましょう。
転職回数が多くても不利になりにくい人の特徴
経験や役割が積み上がっている
転職を重ねながら担当範囲が広がる人もいます。 また、専門性や役職、案件規模が上がるケースもあります。 この場合、キャリアアップとして理解されやすくなります。
専門性が明確になっている
ITエンジニア、経理、人事、法務などは経験の軸を示しやすい職種です。 そのため、複数社で得た知識が強みになることがあります。
環境が変わっても再現できる実績がある
異なる会社でも成果を出している人は評価されやすくなります。 なぜなら、自分の能力で成果を再現できると考えられるからです。
転職理由と志望理由がつながっている
退職理由を説明した後は、次の選択基準へつなげましょう。 さらに、応募先で経験をどう活かすかまで伝えることが重要です。
年代別|転職回数が多いと不利になるポイント
| 年代 | 人事が確認しやすい点 | 対策 |
|---|---|---|
| 20代前半 | 短期離職の理由、仕事選びの基準、基本的な就業姿勢 | ミスマッチの原因と、次に重視する条件を整理する |
| 20代後半 | 専門性の方向、各社での成果、今後のキャリア | 経験を一本の軸でつなぎ、即戦力になる部分を示す |
| 30代 | 再現できる実績、専門性、マネジメント、定着性 | 数字と具体例で、応募先に提供できる価値を伝える |
| 40代以上 | 役割の適合性、専門領域、組織への貢献、希望条件 | 役職名よりも、解決できる課題と対象業務を明確にする |
20代は転職回数より理由の整理が重要
若年層では、専門経験がまだ十分でないこともあります。 そのため、退職理由と今後の選択基準を説明できるかが重要です。
厚生労働省の令和5年若年者雇用実態調査では、 若年労働者の正社員採用について調査されています。 なお、若年層の中途・既卒採用は特別なものではありません。
3ヶ月・半年・1年以内の退職を人事がどう見るのか解説しています。 また、退職理由の伝え方や次の転職での対策も整理しています。
複数社の経験を整理する職務経歴書の書き方
最初に職務要約で共通点を示す
職歴が複数ある場合、採用担当者は全体像をつかみにくくなります。
そこで、冒頭の職務要約で経験を簡潔にまとめましょう。 具体的には、経験年数や得意領域、代表的な実績を書きます。 応募先で活かせる能力も加えてください。
小売・サービス業界で約7年間、店舗運営と人材育成に従事しました。 3社で店長・エリア支援を経験しています。 また、売上管理、採用、教育、業務改善を担当しました。 直近では教育手順を見直し、新人育成の改善に取り組みました。
会社ごとに課題・行動・成果を書く
業務内容を並べるだけでは、経験の積み上がりが伝わりません。
そこで、各社で与えられた役割を整理します。 次に、解決した課題と自分の行動を書きましょう。 最後に、成果を加えると内容が伝わりやすくなります。
転職回数が多いと不利になる退職理由の書き方
退職理由ばかりが目立つと、経験や実績が伝わりにくくなります。 そのため、職務経歴書の中心は能力と成果に置きましょう。
また、退職理由の記載が必要な場合は簡潔に書いてください。 詳しい説明は面接で行う方法があります。
採用担当者を納得させる面接回答例
避けたい回答
どの会社も上司や評価制度に問題がありました。 今度こそ人間関係がよい会社で働きたいと考えています。
この回答では、会社選びをどう改善したのかが伝わりません。 また、次の職場で定着できる理由も分かりにくくなります。
納得されやすい回答の組み立て方
これまでの転職では、仕事内容の確認が不十分でした。 そのため、条件を優先して会社を選んだことがあります。 結果として、新規開拓の比重が高い職場が続きました。
一方、直近では既存顧客への提案と継続支援を担当しました。 そこで、顧客の課題を整理することが自分の強みだと分かりました。 今回は業務内容と評価基準も確認しています。 その経験を活かせる御社を志望しています。
このように、事実と反省を順番に説明しましょう。 さらに、現在のキャリア軸と応募先との接点まで伝えます。 その結果、転職回数が多いと不利になり得る部分を補えます。
応募前に行いたい5つの転職対策
-
全職歴を時系列で整理する
入社・退職年月、雇用形態、担当業務、退職理由を書き出します。 -
転職理由の共通点を探す
条件、仕事内容、人間関係など、繰り返している原因を確認します。 -
キャリアの軸を一文にする
今後どの分野で、どの能力を伸ばしたいかを決めます。 -
企業選びの条件を具体的に確認する
求人票だけでなく、面接で配属、役割、評価、働き方を確認します。 -
対象企業を広げすぎない
経験との接点がある求人を選び、会社ごとに志望理由を作ります。
複数回の転職経験があっても年収アップは可能?
転職回数が多いと不利になることはありますが、 年収アップが不可能になるわけではありません。
厚生労働省の令和6年雇用動向調査では、 転職後の賃金変動について結果が公表されています。 なお、この結果は転職回数別の数字ではありません。
そのため、転職すれば必ず賃金が上がるという意味でもありません。
年収には、応募する業界や職種の給与水準が影響します。 また、専門性や実績、役職、交渉材料も重要です。
業界を変えて経験を活かす方法は、 年収アップを目指す軸ずらし転職の記事 で詳しく解説しています。
よくある質問|採用担当者は転職回数の多い職歴をどう見る?
何回目の転職から不利になりますか?
一律の基準はありません。 年齢や在籍期間、職種によって評価は変わります。 また、短期離職が連続していないかも確認されます。
アルバイトや派遣の職歴も回数に含まれますか?
企業によって扱いが異なります。 正社員歴と分けて確認される場合もあります。 ただし、経歴は雇用形態を明記して事実どおりに記載してください。
短期間で辞めた会社を職務経歴書から削除してもよいですか?
経歴の不一致は信頼性へ影響する可能性があります。 そのため、意図的に隠すことはおすすめできません。 短期間でも担当業務と退職理由を簡潔に整理しましょう。
面接で複数回の退職理由を聞かれたらどう答えますか?
各社への不満を並べることは避けましょう。 まず、事実と学んだことを説明します。 次に、現在のキャリア軸と定着できる理由を伝えてください。
大企業は複数回の転職経験を厳しく見ますか?
企業や求人によって採用基準は異なります。 回数だけで判断されるとは限りません。 また、経験や実績、定着性なども確認されます。
まとめ|回数よりも説明と実績で評価は変わる
転職回数が多いと不利になる場面はあります。 特に、短期離職が続いている場合は注意が必要です。 また、キャリアの方向性を説明できない場合も不利になりやすくなります。
もっとも、採用担当者が知りたいのは数字だけではありません。
- それぞれの会社で何を経験したか
- 転職から何を学んだか
- 現在はどのキャリアを目指しているか
- 応募先でどのように貢献できるか
- 今度はなぜ長く働けると考えているか
まず全職歴を整理してください。 次に、経験の共通点と今後の軸を一つの流れにまとめましょう。
読むべき記事やキャリアの方向が分からない場合は、 転職・退職ルート診断 から現在の悩みに近い記事を確認できます。
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参考情報: 厚生労働省「令和6年雇用動向調査」 、 厚生労働省「令和5年若年者雇用実態調査」
※採用基準は企業、職種、年齢、経験によって異なります。 本記事は特定企業の書類通過や採用を保証するものではありません。 情報確認日:2026年7月23日。


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