退職前の有給消化中に、転職先へ早く入社できないかと考えていませんか。入社日を早めてほしいと言われ、迷っている人もいるでしょう。
有給消化中に入社すると、前の会社と新しい会社の両方に在籍する「二重在籍」の状態になります。法律で一律に禁止されているわけではありませんが、前の会社の就業規則や社会保険の手続きで問題が起きることがあります。そこで、確認すべきことと、注意点を整理しました。
有給消化中の入社とは
有給消化中は、まだ前の会社の社員です。そのため、その期間に新しい会社で働き始めると、2つの会社に同時に在籍することになります。
| 期間 | 前の会社 | 新しい会社 |
|---|---|---|
| 有給消化中(入社前) | 在籍している | まだ在籍していない |
| 有給消化中(入社後) | 在籍している | 在籍している |
| 退職日のあと | 在籍していない | 在籍している |
このように、退職日より前に入社すると、二重在籍の期間ができます。
有給消化中に入社する前に確認したいこと
前の会社の就業規則
まず、前の会社の就業規則で、副業や兼業がどう扱われているかを確認しましょう。兼業を禁止している会社で、無断で働き始めると、規則違反として扱われるおそれがあります。
副業・兼業の考え方は、厚生労働省の副業・兼業の案内で確認できます。
社会保険の手続き
次に、社会保険の扱いを確認します。2つの会社で加入の条件を満たす場合は、手続きが複雑になることがあります。
特に、健康保険と厚生年金は、両方の会社で加入の条件を満たすと、届け出が必要になる場合があります。一方で、雇用保険は、原則として1つの会社でのみ加入します。社会保険の切り替えの時期は、転職したら社会保険はいつからかで解説しています。
新しい会社の考え方
さらに、新しい会社が二重在籍を認めているかも確認しましょう。会社によっては、前の会社の退職日以降の入社を求めることがあります。
二重在籍で起こりやすいトラブル
- 前の会社に知られて、退職の手続きがこじれる
- 社会保険の手続きが重なり、修正が必要になる
- 年末調整や税金の手続きが複雑になる
特に、税金の手続きは、2つの会社から給与を受け取ることで変わることがあります。そのため、入社日を決める前に、両方の会社の人事に確認しておくと安心です。
入社日を早めてほしいと言われたら
新しい会社から入社日を早めてほしいと言われることもあるでしょう。その場合は、まず前の会社の退職日を伝えたうえで相談します。
伝え方の例
「現職の退職日が〇月〇日のため、それ以降の入社を希望しております。」
「有給消化期間中の入社が可能か、現職の規則を確認いたします。」
このように、事情を正直に伝えれば、調整してもらえることが多いでしょう。
有給を使いきれない場合の考え方
入社日に合わせると、有給を使いきれないこともあります。その場合は、退職日を調整するか、残りの有給の扱いを前の会社に相談しましょう。
退職時に有給を買い取ってもらえるかは、退職時の有給の買い取りの考え方で紹介しています。
有給消化中の入社でよくある質問
有給消化中に新しい会社の研修だけ受けてもいい?
研修も、内容によっては働いていると見なされることがあります。そのため、研修の扱いも新しい会社に確認しましょう。
前の会社に伝える必要はある?
就業規則で兼業に届け出が必要な場合は、伝える必要があります。とはいえ、規則に定めがない場合でも、トラブルを避けるために人事に確認しておくと安心です。
入社日を決めるときの手順
二重在籍を避けたい場合は、次の順番で入社日を決めると安心です。
- 前の会社の退職日を確定させる
- 残っている有給の日数を確認する
- 退職日の翌日以降で、入社日を新しい会社と相談する
例えば、有給を使いきってから退職日を迎えれば、二重在籍の期間はできません。そのため、入社日の調整は、退職日が決まってから進めるのが無難です。
一方で、どうしても入社日を早める必要がある場合は、両方の会社に事情を伝えましょう。そのうえで、社会保険や税金の手続きをどうするかを確認しておきます。
なお、入社前の準備の進め方は、入社前の手続きとあわせて早めに確認しておきましょう。つまり、退職と入社の予定を一つの表にまとめておくと、抜け漏れを防げます。
有給消化中の入社は、うまく調整すれば問題なく進められることもあります。大切なのは、自分だけで判断せず、両方の会社に確認することです。確認した内容は、メールなど記録が残る形で受け取っておくと安心です。後から行き違いがあったときにも、やり取りを見返せます。新しい職場で気持ちよく働き始めるためにも、手続きは丁寧に進めましょう。
迷ったときは、無理に早く入社しないことも選択肢の一つです。
まとめ|有給消化中の入社は規則と手続きを確認してから
- 有給消化中に入社すると、二重在籍の状態になる
- 前の会社の就業規則で、兼業の扱いを確認する
- 社会保険や税金の手続きが複雑になることがある
- 入社日は、両方の会社に確認してから決める
